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修験十人十色

  • 執筆者の写真: wabisuke
    wabisuke
  • 2022年9月11日
  • 読了時間: 2分

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初秋の高尾山に出かけた。

山の気温はすでにさらっとした初秋だが、耳からの風情はまだ夏。遅生まれの蝉たちがゆっくりと自分たちの季節を味わっていた。


蝉の声、山頂の薬王院の山門での江戸風鈴の音。と、遠くで木を切るチェーンソーの音。苔むした石や香炉の煙を浴び静寂に浸る中、ちょっと残念、、、と思いつつ本殿に足を運ぶと、このチェーンソーが人間の声だったということに気づき、驚いた。


山頂の竜宮城を彷彿とさせるかつての極彩色の本殿の面影。長年の風雪でかなり鄙びた竜宮城の中から、今、声明の吟が外に漏れ伝わっている。


チェーンソーと聞き間違えるほどに空気を振動させ、遠くまでその磁波のような音のエネルギーが伝わるお坊さんの声。下山途中には法螺貝の音も、杉林の中に反響し耳に届いた。


私たちは下山中だったが、ぞくぞくと修験の山登りをする人々とすれ違った。ぐったり眠る娘を背負って登山するお父さん。山頂まであと半分!ホノルルマラソン中のような黄色の半袖、赤の短パン、バンダナはちまき、日焼けした皺の健脚ぶりが光るお爺さん。山頂まであと3分の2!!天パにリボンをつけた小型犬たちも、かなり普段とギャップのある散歩の同行者として強行されてきている。極め付けは、近所の郵便局か図書館にでも出かけるつもりが道を間違えたか?めがねお兄さん。卵色のポロシャツにグレーのパンツ、肩から斜めに黒バックを下げて足元は、、、草履。かかとがカパカパして山登りにはかなり不利な条件と見えるが。。かなりの強者である。

現代の私たちは、あえてそれぞれの工夫・負荷をかけて修験に臨んでいる。


高尾山は現代も十人十色の修行の山であった。


 
 
 

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